子育て支援が届かないのはなぜ?トヨタ財団が「チームみんなで子育て」プロジェクトを助成、家族支援モデル構築へ
子育て支援の制度やサービスはあるのに、なぜ「使えない」のでしょうか?
現代の日本では、共働きが当たり前になり、家事や育児の負担が家庭内に集中しがちです。内閣府の調査によると、日本では6割以上の人が「子どもを産み育てやすい国ではない」と回答しているとのこと。これは、孤立し疲弊する「無償ケアの抱え込み」が、少子化を加速させる深刻な要因の一つになっていることを示しているのかもしれません。

プロジェクトの中心団体である認定NPO法人ノーベルは、16年間にわたる訪問型病児保育を通じて28,000件以上の家庭を支援してきた経験から、制度やサービスがあっても「いつ、誰に、何を頼むか」という意思決定そのものが難しいことが、支援を活用できない大きな壁になっていると実感しているそうです。
「まるサポ」の実践から見えてきた、支援の本質は「家族支援」
ノーベルは2023年から、子育て家庭の暮らし全体をオールインワンでサポートする「まるサポ(子育て家庭のまるごとサポート)」のモニター実施を進めてきました。行動経済学的アプローチを用いた意思決定支援のノウハウを持つCoBe-Tech株式会社と共同開発したアセスメントツールを使い、家庭ごとの複雑なニーズを解明し、科学的根拠に基づいた支援を実践しているとのことです。


モニター終了後の調査では、約8割の家庭で夫婦関係が改善したと実感され、さらに4名の新たな命の誕生にも繋がったそうです。この実践から、支援の本質は家族の土台を整える「家族支援」にあると確信したとのこと。本プロジェクトでは、この知見を基に、支援が届かない構造的要因を解明し、「子どもが産まれたらチームをつくる社会」の実現に向けた家族支援のモデル構築、そして関係省庁や行政への政策提言を目指しています。
プロジェクトの概要と目標(3つの柱)
本プロジェクトは、2026年5月から2028年4月までの期間で、以下の3点を実施する予定です。
- 「頼れない現状」の可視化(調査・研究):既存制度や民間サービスが使われていない構造的要因を解明します。「意思決定の難しさ」や「心理的に頼りづらい」といった心理的・関係的要因にも焦点を当てていくそうですよ。
- 家族支援モデルの構築:「使えない」サービスを利用へとつなげる意思決定支援プロセスを設計します。他団体や他地域でも活用できる、再現可能な仕組みとしてモデル化し、セオリーオブチェンジとして体系化を目指します。
- 政策提言:こども家庭庁に対し、従来の「子育て支援」から、意思決定支援や伴走支援の視点を組み込んだ家族単位の支援を基盤とした「家族支援」への転換を提言します。また、自治体へは、既存の子育て支援制度の運用を見直し、地域資源との連携を促進した利用しやすい支援体制の構築を提案するとのことです。

このプロジェクトが目指すのは、子どもが生まれたら自然に周囲とチームが立ち上がり、みんなで子育てをする社会の実現です。トヨタ財団助成プログラムの採択という強力なバックアップを得て、実際の子育て現場で使いやすい制度やサービスを検証し、関係機関との連携を実現させ、日本の子育て環境の再設計に挑戦していくそうですよ。
選考委員会からの評価
本プロジェクトの選考にあたっては、以下の点が特に高く評価されたとのことです。
- 子育てを家族の外へと広げる方向から少子化にアプローチし、「意思決定支援」に着目して調査から提言までを一体で構想している点。また、知見の一般化を視野に入れている点。
- 「子どもはみんなで育てるものだ」という文化を創出するムーブメントへの期待。
中心団体「認定NPO法人ノーベル」について
認定NPO法人ノーベルは、「子育てこそ、みんなで。」をビジョンに掲げ、2009年に設立されました。2010年からは「子どもが病気のとき、安心して預けられる居場所がない」という声から生まれた訪問型病児保育をスタート。2025年10月からは子育て家庭の暮らしを包括的に支える伴走型支援「まるサポ」を開始しています。
子育て家庭、保育の担い手、地域・企業・行政・支援者とともに、誰もが安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指している団体です。主な事業は、急な発熱時にも100%対応する訪問型病児保育、家庭ごとの困りごとを整理し暮らしを伴走する「まるサポ」、保育の担い手の学び・つながりを支える環境づくり、そして寄付等によるひとり親や障がいのある子ども家庭への支援など、多岐にわたります。
認定NPO法人ノーベルのウェブサイトはこちらです:https://nponobel.jp/
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