2026年度 企業の想定為替レートは平均147円87銭、円安方向に修正も実勢レートとの乖離続く
2026年度 企業の想定為替レート調査結果
日米の政策金利差の拡大や中東情勢によるエネルギー供給不安などを背景に、外国為替レート(円・ドル相場)は円安傾向が続いています。この円安は、インバウンド需要や輸出には良い影響をもたらす一方で、原材料の輸入物価を通じて企業の仕入単価を急上昇させ、利益を圧迫する要因ともなっています。
企業が事業計画を立てる際に設定する想定為替レートと、実際の為替レートに大きな差が生じると、その差が企業の業績に大きな影響を与えることがあります。特に、価格転嫁が難しく、為替ヘッジの手段が限られがちな中小企業にとっては、想定レートと実勢レートの乖離が収益計画や資金繰り、ひいては企業の信用力にも関わってきます。
このような状況を受け、帝国データバンクは2026年5月の景気動向調査と合わせて、企業の想定為替レートに関する調査を実施しました。この調査は2017年から毎年行われており、今回で10回目となります。
平均147円87銭、昨年より8円あまり円安に修正
2026年5月時点での企業の想定為替レートは、平均で1ドル=147円87銭となりました。これは前年5月の139円64銭から8円23銭、円安方向に修正されたことを示しています。
ただし、企業数ベースで見ると、平均よりもさらに円安水準を想定する企業が多いことがわかります。回答企業を円高水準から順に並べた中央値は155円、最も回答が多かった最頻値は160円でした。平均値が147円台にとどまったのは、「130円以下」と設定する企業が10.1%あるなど、比較的円高水準に設定する企業も一定数存在するためと考えられます。

分布を詳しく見ると、「156~160円」を想定する企業が33.6%と最も高く、次いで「146~150円」が18.8%、「151~155円」が16.5%と続いています。企業の約7割が146円~160円の範囲で想定為替レートを設定していることが明らかになりました。
企業からは、「為替レートが130円くらいにならないと、商品を仕入れても高くて誰も買ってくれない」(織物製寝着類製造、想定:145円)といった、為替変動が自社の売り上げや消費マインドに与える影響を懸念する声が聞かれました。一方で、「宿泊事業は、円安の影響もありインバウンドが好調。当面は、現状の為替水準が見込まれ、好調さは維持できるものと考えている」(不動産管理、想定:150円)のように、インバウンド需要への好影響を期待する声もあがっています。
業界別の想定為替レートに開き、『農・林・水産』が最も円安水準
業界別に想定為替レートを見ると、『農・林・水産』が156円60銭と最も円安水準でした。一方で、『建設』『小売』『不動産』『運輸・倉庫』は144円台となり、比較的円高水準を想定していることがわかります。
最も円安水準だった『農・林・水産』と、最も円高水準だった『建設』の差は12円56銭にのぼりました。業界ごとの輸出入の有無や原材料・燃料価格への感応度、価格転嫁のしやすさといった違いが、想定為替レートの水準にも表れている可能性がありそうです。

輸出入や企業規模でも異なる想定為替レート
輸出・輸入別に想定為替レートを見ると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では150円54銭、対して「輸入」を行っている企業では151円89銭と、輸入企業の方が1円35銭円安水準を想定していました。特に「直接輸入のみ」を行う企業は152円38銭と、「直接輸出のみ」を行う企業(144円24銭)よりも8円14銭も円安水準を想定していることが特徴です。
規模別では、「大企業」が151円53銭、「中小企業」が147円84銭、中小企業のうち「小規模企業」は146円25銭でした。規模が大きい企業ほど想定為替レートが円安水準となっており、これは海外取引の多さや為替管理体制の違いが反映されていると考えられます。特に「直接輸出のみ」の企業でも、大企業は中小企業より6円23銭円安の水準を想定しており、輸出入の有無だけでなく企業規模によっても為替前提に差が生じていることがわかります。

まとめ
今回の調査によると、2026年度の企業の想定為替レートは平均1ドル=147円87銭であり、前年よりも円安方向に修正されています。しかし、2026年4月以降の実勢レートが160円前後で推移していることを考えると、依然として想定為替レートとの間に10円以上に及ぶ大きな乖離が生じているのが現状です。
経済のファンダメンタルズを反映する購買力平価(PPP)が106~108円程度で推移していることを踏まえると、中長期的な為替変動は今後も続くと考えられます。想定為替レートと実勢レートの乖離が、輸出入取引を通じて企業収益を下押しするリスクには、引き続き注視していく必要があるでしょう。
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