イラン戦争後の世界秩序の変化に中国研究の第一人者が警鐘を鳴らす。『G2構想 勝つのは米国か中国か』7/2発売。
習近平はなぜイランを停戦へ導けたのでしょうか?
遠藤氏は、イラン戦争において中国外交が停戦協議に大きな影響力を及ぼしていると分析しています。その後に行われた5月の米中首脳会談でのトランプ大統領と習近平国家主席のやりとりにも、その影響が表れていると指摘しています。
その背景には、イラン産石油のほぼ100%近くを輸入する中国との経済関係や、「一帯一路」政策が中東諸国と築いている関係があるようです。本書では、これらの詳細な解説を読むことができます。
イラン攻撃で米国への信頼が失墜?
ガザ紛争、ベネズエラ奇襲、そしてイラン戦争を経て、世界の趨勢は少しずつ「米国よりも中国を支持する」傾向にシフトしつつあると遠藤氏は分析しています。
その証左として、2026年2月に米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツで行われたPOLITICOによるアンケート結果が紹介されています。このアンケートでは、「信頼できるリーダーは、トランプか習近平か」という質問に対し、いずれの国でも習近平国家主席と答えた国民が多数となりました。さらに、「10年後、覇権を握っているのはどちらか」という質問に対しても、「中国」と答える国民のほうが多かったとのことです。


この一因として、中国のレアアースの存在が挙げられています。米軍兵器の多くに、中国が90%以上の占有率を持つレアアースやレアメタルが使用されていると指摘されています。
習近平国家主席が描く「台湾平和統一」のシナリオ
遠藤氏は、中国のレアアース占有率の高さに加え、下記の点も中国優位の背景にあると分析しています。
- 世界の85~90%のレアアース精錬能力を中国が保有しています。
- EV、ドローン、太陽光エネルギー、宇宙開発、半導体、ロボット分野において、群を抜いた生産能力と開発能力を有しています。
- アメリカよりも中国のほうがより大きな貿易相手国である国や地域は、世界の72.7%を占めるまでに拡大しています。
これらの状況を踏まえ、本書では習近平国家主席が描く「台湾平和統一」のシナリオが時系列的に提示されています。2028年には、国民党に政権交代し、話し合い、もしくはエネルギー封鎖による台湾統一を成し遂げる可能性もあることを示しているのですね。
『G2構想 勝つのは米国か中国か』について
目次より
- イラン攻撃の一時停戦を可能にさせたのは習近平
- イラン攻撃が「石油人民元」を促進させるのか?
- イラン石油は中国エネルギー源の1.6%に過ぎない
- トランプの誤算─イランは予想外に強かった
- イランは中国のスパイ衛星を使っている?
- G2を生き抜くのはトランプか習近平か
- 中国のレアアースがなければ米軍武器は製造できない
- G2構想 習近平「時間はわれわれの味方」
- 台湾統一へのカウントダウン
著者プロフィール
遠藤誉(えんどう・ほまれ)
中国問題グローバル研究所所長。1941年中国吉林省長春市生まれ。国共内戦を決した「長春食糧封鎖」を経験し、1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。内閣府総合科学技術会議専門委員(小泉政権)や中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任されています。
著書に『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『米中新産業WAR』、『台湾軍事機密文書が語る中国「抗日戦争」の真相』など多数あります。
書誌情報
- 書名:G2構想 勝つのは米国か中国か
- 著者:遠藤 誉
- 定価:1,210円(税込)
- 判型・製本・頁数:新書判・並製・240ページ
- ISBN:978-4-569-86139-5
- レーベル:PHP新書
- 発行:PHP研究所
- 発売日:2026年7月2日
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