鉄鋼メーカーの気候対策を可視化!世界22社の脱炭素化進捗を分析する新ツールが公開
世界の鉄鋼メーカーの気候変動対策を可視化する新ツール
国際気候NGOスティールウォッチは、2026年1月14日にデータ分析ツール『鉄鋼企業移行トラッカー』日本語版を公開しました。このツールは、日本製鉄やJFEスチールを含む世界12カ国22社の鉄鋼メーカーが、脱炭素化に向けてどのような進捗を見せているのかを分析し、比較することを可能にします。

なぜ今、鉄鋼業界の脱炭素化が重要なのでしょうか?
鉄鋼業界は、世界のCO2排出量の約11%、日本国内では約13%を占める、気候変動の主要な要因の一つです。特に、石炭を使用する高炉での鉄鋼生産が、業界全体の排出量の90%を占めています。多くの企業が脱炭素計画を公表しているものの、排出量の報告が不十分であるため、各社の脱炭素化の進捗状況を客観的に比較分析することはこれまで困難でした。
『鉄鋼企業移行トラッカー』で何がわかる?
このトラッカーは、企業間および年度間での比較を可能にする画期的なツールです。鉄鋼メーカーの公開情報に加え、グローバルエナジーモニター(GEM)といった一般公開情報源も活用されており、以下の4つの主要分野における重要な指標をまとめて閲覧できます。
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排出量
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石炭依存度
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グリーン鋼材への準備度
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人や社会への影響
トラッカーが明らかにした現状
主要な鉄鋼メーカーに焦点を当てた分析から、いくつかの重要な点が浮き彫りになっています。
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依然として高い石炭依存: 石炭への依存は、いまだ鉄鋼メーカーにとって大きな課題です。排出量および石炭を使用した高炉の数は増加傾向にあります。さらに、対象となる22社の鉄鋼メーカーの大半は石炭消費量を報告しておらず、実際の石炭消費量は、トラッカーで示されている数字よりもはるかに多い可能性があります。
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グリーン鋼材への移行の遅れ: ニア・ゼロエミッションが可能な鉄鋼生産設備(主にガスによる直接還元製鉄)は存在するものの、グリーンアイアン(低排出な鉄源)やグリーン鋼材の生産は本格的には始まっていません。特に、グリーンアイアンの消費量と生産量は依然としてゼロであるという状況が示されています。業界全体の脱炭素化に向けて、このペースを加速し、拡大していく必要があると言えるでしょう。今後、トラッカーでその進捗を追うことができるようになります。
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対策の進展は横ばい: 近年の気候変動対策における取り組みの傾向は、概ね横ばいで、大きな進展は見られていません。労働安全衛生や大気汚染の指標は改善傾向にある一方、取り組むべき課題は山積しています。
対象企業とツールのアクセス
『鉄鋼企業移行トラッカー』には、ブラジル、中国、ドイツ、インド、イラン、日本、ルクセンブルク、ロシア、韓国、スウェーデン、トルコ、米国(国名はアルファベット順)に本社を置く企業が含まれています。
このツールは、以下のリンクからアクセスできます。
https://steelwatch.org/tracker/?lang=ja
このツールが、鉄鋼業界の脱炭素化に向けた具体的な行動を促し、より持続可能な未来への移行を加速させる一助となることを期待しています。
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