「暮らしの延長に宿がある」白老の旅館おぎた、65年の歴史を受け継ぎ「まちのリビング」として再出発!
祖母の下宿から始まった「暮らしの延長としての宿」
旅館おぎたの始まりは1960年、前女将・美枝子さんの祖父母が営む下宿でした。旅館業の許可を得たのはその10年後ですが、その原点は「住む場所を提供すること」にあります。非日常を演出する一般的な旅館とは異なり、まるでそこに暮らす人々の日常に、訪れた人が自然に溶け込むような体験を提供してきました。この独特の空気感は、3世代にわたって大切に受け継がれてきたものです。
現代において、かつての日本には当たり前のように存在した「暮らしと宿が一体となった場所」。旅館おぎたは、その本質を現代の言葉で再定義し、次の世代へと繋ごうとしています。65年という長い年月と、荻田ファミリーの暮らしそのものが作り上げてきた温かさは、決して意図して作れるものではありませんね。
「暮らしの継続」を前提に成立した承継
全国的に後継者不足が課題となる中で、旅館おぎたの事業承継は特別な意味を持っています。2025年には地元の電気工事会社である合同会社こんのでんきへと事業が引き継がれました。代表の金野大輔氏は、祖父がかつて旅館の改修工事に携わっていたという半世紀にわたる地縁があり、それが承継の大きな動機の一つになったそうです。
この承継の最も重要な点は、前女将の美枝子さんをはじめとする荻田ファミリーが、承継後も旅館の運営に深く関わり続けていることです。これは単なる事業の引き継ぎにとどまらず、「暮らしの継続」を前提とした承継と言えるでしょう。宿の本質である温かい空気感を守りながら、次の世代へと受け継ぐための、とても素敵な形がここにあります。
写真: 旅館おぎたスタッフ(右から3代目女将荻田美枝子、娘まな、まなの息子、こんのでんき金野代表)
「まちのリビング」――その土地の温度感に触れたい旅行者へ
最近では、旅行のニーズも多様化しています。非日常の豪華な体験よりも、その土地に実際に流れる空気を感じたい、地域の人々と自然に触れ合いたいと考える方が増えているようです。旅館おぎたの「暮らしと宿が一体」という本質は、このようなニーズに対し、作り物ではない形で応えられる貴重な場所として機能します。
新コンセプト「まちにひらく、もうひとつの実家」は、この旅館の本質を現代の言葉で表現し直したものです。宿泊客だけでなく、地域住民も気軽に立ち寄れる場所、まるで家族のように温かく迎えてくれる場所。これは新しい方向性ではなく、祖母の下宿からずっと続いてきた旅館おぎたの姿そのものなのです。今後、住民との交流イベントや地域アーティストとのコラボレーションなど、まちと繋がる様々なプログラムも順次展開される予定です。
コワーキングスペース新設:設計思想を「空間」に落とし込む
このコンセプトを具現化する装置として、旅館施設内にコワーキングスペースが新設されました。ここでも「外から来た人と、ここに暮らす人が、同じ場所にいる」という設計原則が貫かれています。
白老に滞在しながら仕事をするリモートワーカーやワーケーション利用者にとっては、地域と関わるための拠点となります。一方、地域住民にとっては、打ち合わせや活動に利用できる日常的な場所として機能します。旅人と住民が自然に交わる状況を意図的に作り出す、そんな開かれた空間が生まれました。
関係者のコメント
合同会社こんのでんき 代表 金野大輔氏
「(コメント:100文字程度でいただく予定)」
女将 荻田美枝子氏
「宿を良い形で引き継げたことで、まずは安心しています。子どもの頃からずっと利用してくれているお客様もたくさんいらっしゃり、関わり方は変わりましたが、これまでと同じように旅館でお迎えできることを嬉しく思います。最近では海外のお客様がちらほらいらっしゃるようになるなど、また新しい体制に変わった先の取り組みも楽しんでいきたいです。」
旅館おぎた 概要
- 施設名:旅館おぎた
- 所在地:北海道白老郡白老町東町2丁目2−2
- アクセス:JR白老駅 徒歩3分
- 運営:合同会社こんのでんき(代表:金野大輔)
- 施設内容:宿泊(全室Wi-Fi完備)・コワーキングスペース・イベントスペース
- TEL:0144-82-2330
- ウェブサイト:https://ryokan-ogita.jp
- 公開・開設日:2026年3月12日(木)
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