国民の約半数が運動不足? 厚労省推奨の身体活動量達成率は46.6%に留まる実態が明らかに
厚労省推奨の身体活動量、達成率は46.6%
2024年1月、厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の中で、健康づくりのための新しい推奨身体活動量を示しています。しかし、国民が実際にどの程度身体活動を行っているかについては、全国規模の客観的なデータが不足しているという課題がありました。
この課題に対し、両財団は身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間を詳細に測定できる「活動量計」を用いて、日本国内における身体活動の実態把握を目指す共同研究を2023年度から実施しています。2024年度からは全国47都道府県200地点で調査が行われており、2025年度に実施された最新の調査では、厚生労働省が定める推奨身体活動量(1日)の達成率は全体で46.6%でした。これは2024年度調査の47.9%と比べて大きな差は見られませんでした。
「身体活動」とは?
「身体活動」とは、「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動作」を指します。日常生活における立ち仕事や家事全般は「低強度身体活動」、階段昇降や運動・スポーツ全般は「中高強度身体活動」に分類されます。身体活動ガイド2023では、3メッツ※以上の身体活動(歩行、庭仕事、子どもと遊ぶ、水泳など)の基準が示されています。
※メッツ:「安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するか」を示す“活動強度”の単位。歩行は3メッツ、速歩は4.5メッツ、ランニングは10メッツ。
調査結果のポイント
今回の調査結果の主なポイントは以下の通りです。
- 厚生労働省・身体活動ガイド2023が定める推奨身体活動量(成人:1日60分、高齢者:1日40分)の達成率は全体で46.6%となり、2024年度調査(47.9%)と大きな差は見られませんでした。
- 成人(20-64歳)の達成率は44.7%、高齢者(65歳以上)は53.3%と、成人は半数を下回る結果となりました。
- 1日あたりの歩数は6,648歩、座位行動時間は8.8時間でした。
推奨身体活動量の達成率
「身体活動ガイド2023」で推奨されている歩行またはそれと同等以上(3メッツ以上の強度)の身体活動量の達成率は、全体で46.6%でした。年齢層別では、20~64歳の成人が44.7%、65~79歳の高齢者が53.3%という結果です。性別で見ると、成人男性では45.5%、女性は44.2%、高齢者男性では54.2%、女性は52.2%となり、成人の達成率は2024年度調査に続いて半数を下回っています。

1日あたりの歩数と座位時間
1日あたりの歩数は、成人で7,017歩、高齢者で5,428歩と、身体活動ガイド2023が定める基準を下回る結果となりました。また、1日あたりの座位行動時間は、全体で8.8時間、成人で8.8時間、高齢者で8.6時間でした。

※数値は、他と比べて極端に小さな値、または極端に大きな値(外れ値)の影響を受けにくい中央値を用いて示されています。
活動量計について
本調査では、三軸加速度センサーを内蔵した活動量計が使用されました。この活動量計は腰に装着するだけで、身体活動データを1分ごとに記録し、個人の身体活動量や歩数を測定できます。日常生活で「どのくらい動いているのか」「どのくらい座っているのか」を本格的に測定・分析することが可能です。対象者は休日を含めた1週間、就寝時や入浴時などを除き、活動量計を装着しました。
調査概要
- 調査対象:層化二段無作為抽出法を用いて全国47都道府県から抽出された200地点における満20歳以上80歳未満の男女6,000人
- 調査方法:郵送法。対象者には土・日曜日を含めた合計7日間にわたる活動量計の装着を依頼し、測定を実施しました。期間中に実施した運動・スポーツや生活習慣等に関しては質問票によって回答を得ています。
- 調査時期:2025年11月
- 主な調査項目:
- 活動量計による測定:身体活動量(低強度・中高強度)、歩数、座位行動時間など
- 質問票による調査:運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ活動歴、健康認識、生活習慣、基本属性など
- 回収状況:解析対象者数1,353人(有効回収率22.6%)※1日10時間以上の装着日が4日以上
研究体制
- 研究責任者:
- 公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副所長/上席研究員 甲斐 裕子
- 公益財団法人 笹川スポーツ財団 シニア政策ディレクター 吉田 智彦
- 研究担当者:
- 公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副主任研究員 川上 諒子
- 公益財団法人 笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー 松下 由季
共同研究機関
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所
1962年設立。「健やかで豊かな長寿社会」の実現に貢献する新たな健康づくり方法を開発する研究活動を行い、その知見の普及啓発を推進しています。現在は職域における身体活動・座位行動の健康影響についての運動疫学的研究や、そのメカニズム解明を目指す基礎的研究を実施。さらに健康科学の知見を社会に根付かせるため、地域における社会実装的研究を展開しています。
公益財団法人 笹川スポーツ財団
1991年設立。国民一人ひとりがスポーツを楽しむ社会「スポーツ・フォー・エブリワンの実現」を掲げ、「スポーツによる社会課題解決」を目的に研究調査活動を行っています。主な研究テーマは、健康とスポーツ、障害者スポーツ、子どものスポーツなど。研究結果をもとに自治体やスポーツ推進団体と共同事業を実施し、政策提言を行っています。
「ニュース」カテゴリーの関連記事
